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「失敗してもいいじゃないか。
会社をつくるというのは一世一代のことなんだ。
人生で一度、会社を持ったことがあるというだけで、
それは人に誇れることなんだ」
(アップルの創業者 スティーブ・ジョブス)
はじめに
株式会社でもなく、有限会社でもない「LPカンパニー」という会社形態があるのをご存知ですか?
聞き馴れない言葉なので、きっと戸惑う人も多いでしょう。
それもそのはず。「LP」という言葉は私が勝手に略語として使っているもので、一般的に使われている名称ではありません。
英語で「リミテッド・パートナーシップ・カンパニー」といい、日本語では「合資会社」と呼ばれている形態の会社を指します。
私があえてここで「LP(リミテッド・パートナーシップ)カンパニー」と呼ぶにはそれなりの理由があります。
それは、「合資会社」という言葉に対して一般の人が抱くイメージは、
あまりにその実態とかけ離れてマイナス面が強調されているものだからです。
事実、会社設立ガイドブックを開くと、なぜか判で押したようにこう書かれています。
「合資会社は、閉鎖的で古い形態なので、いまではほとんど使われることがない。株式会社か有限会社を選択するのが賢明」
果たして本当にそうでしょうか。
本書はそんな常識を疑うことから始まりました。
実際に調べてみると、そうした常識が、いかに誤解と誤謬に満ちあふれたものであるかということを痛感しました。
これまで会社設立ガイドブックを出版している著者たちは、単に先入観のみによって合資会社という選択を抹殺してしまっていたといっても過言ではないでしょう。
たとえば、合資会社の経営者は会社が潰れたときに個人財産まで失うが、有限会社や株式会社なら個人財産は安泰などという内容が、
これまでのガイドブックに平気で書かれていましたが、まったくもってバカげた話です。
個人で設立する会社は、株式会社だろうが有限会社だろうが、実質的には個人責任を免れないのは経営者たちの常識です。
一方で、合資会社のシステムを詳しく調べてみると、「古臭い会社」どころか、いまの時代、個人で事業を始める人にとっては、
これ以上ないと思えるほど有利な会社形態であることがわかりました。
そして、この合資会社という形態は、もしかすると、日本における従来の会社設立の常識を根底から覆すほどの可能性を秘めているのでは、と私はかんがえています。
その証拠に、実際にアメリカではリミテッド・パートナーシップ(=合資会社)は、会計事務所やコンサルタント事務所、監査法人などで好んで採用されている会社形態なのです。
合資会社の具体的なメリットとしては、次の四点です。
なかでも、注目していただきたいのは、資本金が少なくてすむという点です。
平成三年に施工された改正商法によって、株式会社が1000万円以上、有限会社も300万円以上の資本金がないと新たに会社を設立できなくなりました。
ところが、合資会社(合名会社も)については、いまだに資本金に関する縛りは一切ありません。
極端な話、資本金一万円で自分の会社を設立することも可能なのです!
論より証拠というわけで、本書では著者自らが実際に資本金一万円のLPカンパニーの設立に挑戦し、見事成功を収めました。
そのプロセスは本書の三章で詳述しましたので、じっくりと読んでみてください。
設立手続きについては、各ステップを完全にマニュアル化してありますから、これから事業を起こそうとしている人、
またはすでに個人事業を始めていて法人組織に変更したいとかんがえている人は、これを参考にすれば明日にでも自分の会社の設立登記ができるようになっています。
何しろ合資会社の設立手続きは驚くほど簡単なのですから。
もちろん、合資会社がすべての面において有利なわけではありません。
事業の形態によっては、最初から株式会社や有限会社を選択したほうが賢明なケースも少なくありません。
ただ、少なくとも小資本で始める個人規模の事業、特に自らの知識と技能を元手に仕事をする人間にとっては、
合資会社という選択は、現在の法規制のなかで最も賢明な選択であることは自信を持って断言します。
誤解しないでいただきたいのは、会社を設立することは、単に器を作ることにすぎないということです。
器の中にどんな料理を盛るか、つまりどんな事業を始め、それをどうやって運営していくかのほうが器作りよりもはるかに大切なのです。
そこで本書では、その点についてもフォローすべく、第五章で合資会社向きのビジネスとその事業の進め方についても詳述しておきました。
本書を最後まで読みすすめていただければ、あたなもきっと自分にピッタリのマイカンパニーをつくれるはずです。
人から与えられた仕事を黙々とこなす時代ではありません。この際、マイカンパニーを作って思いっきり自分のやりたいことに挑戦してみてはいかがでしょうか。
なお、本書の専門的な内容については、会社設立実務に詳しい井上栄次税理士に監修をお願いしました。
したがって、本書は、私自身の会社設立体験と、専門家の知識が集約されたものであることを付け加えておきます。
1、有限会社と合資・合名会社との比較
個人事業者には、合資会社がもっとも有利
《設立手続き》合資会社の手続きは一日で済む
《設立費用》自分で手続きするなら、さらに安くなる
《資本金》最低資本金の規定は一切なし
《会社運営面》取締役・監査役不要、書面決議不要
2、合資会社とは、どんな形態の会社なのか
無限責任社員と有限責任社員の違いを知ろう
「無限責任社員」と「有限責任社員」によって構成されているのが大きな特徴
資本参加を募れる点では、株式会社に一番近い
3、合資会社のデメリットを徹底的に検証する
なぜ合資会社はかえりみられなかったのか
出資者と経営者が同一なら「有限責任」は無意味
現時点ではイメージこそ良くないが・・・
偏見は情報不足のせい
1、個人事業を法人にすると、節税になる
スポーツ選手やタレントが、個人事務所を会社組織にして、節税をはかっているという話をよく耳にしますが、法人にするといったい何がどうトクなのでしょうか?
具体的に、いくら以上の所得があれば、法人にしたほうが有利なのでしょうか?
よく「会社をつくって、給与をもらう形にすると節税になる」という話を聞きますが、どういうことなのでしょうか?
給与所得控除とは、いったい何なのでしょうか?
税金はどの程度違うのでしょうか?
社会保険の面で、法人にしたほうが有利ということはありますか?
経費の面では、個人と法人の差はありますか?
もし利益がゼロだった場合は?
2、合資会社にすると、資本が集めやすくなる
法人にすると、銀行からお金を借りやすくなりますか?
個人事業を法人にしたことで成長したケースはありますか?
なぜ合資会社は、そうしたシステムを持っているのでしょうか?
でも、広く資本を集めるには、やはり株式会社のほうが有利なのでは?
とはいっても、出資者は利益が還元されることに対して、何の裏付けもない会社に出資してくれるでしょうか?
出資する側は特別なリスクを負いますか?
有限会社の場合はどうですか?
3、出資してもらった人との関係は?
出資者である有限責任社員は、会社の経営に介入できますか?
有限責任社員が、その権利を第三者に譲渡することはありえますか?
突然、出資者が出資分をひきあげることはありえますか?
株式会社の株主と合資会社の有限責任社員の違いは?
4、友人と共同で合資会社を経営できるか
友人と共同経営の形で、合資会社をつくって運営していくことはできますか?
ということは、合資会社ではなくて、合名会社にしたほうがいいのでしょうか?
でも、二人がともに無限責任を負うのは、リスクが大きすぎるのでは?
合資会社の代表取締役は?
重要な事項を決定する議決機関は?
5、合資会社の資本金制度はどうなっているのか?
合資会社を設立するには、資本金はいくら必要ですか?
資本金が少ない会社というのは、対外的に信用が得られにくいのでしょうか?
資本金を問題にしないのは、時代遅れの会社形態ではないでしょうか?
資本の額以外に、合資会社の資本金制度で、株式会社や有限会社と違う点はありますか?
6、ほかの形態へ組織変更はできる?
合資会社は将来、株式会社や有限会社に組織変更できるのでしょうか?
資金調達面では、やはり合資会社のほうが不利ですか?
会社をつくってみたものの、やはり個人のほうがトクだと判断した場合、一度つくった会社を解散することはできますか?
1、資本金一万円カンパニーは本当に設立できるのか
資本金一万円の、自分の会社をつくろう!
合資会社用の法令用紙が売っていない?
三枚の書類だけで、会社ができる
2、会社の骨組みをつくってみると・・・・・・
私と井上税理士と、二人で会社をつくることにしよう《社員構成》
私が七〇〇〇円で、井上税理士が3000円《出資の内訳》
カッコつけず、当たり前の社名に決めた《商号》
具体的に事業内容を決める《目的》
私の場合は自宅が一番都合が良かった《本店の所在地》
暇な時期に決算となるようにする《営業年度》
3、設立に必要な書類を作成する
合資会社の定款の書き方は?
「同意書」と「出資金領収書控」をつくる
今の印鑑じゃサイズがあわない?
まだ必要な書類があった
4、いよいよ法務局へ登記に行く
1、会社設立の準備、完全に整えておく(ステップ1)
必要書類と印鑑を調達しておく
書類の雛形を作っておく
2、会社の基本事項を決定して、提出書類を完成させる(ステップ2)
定款の記載事項を決め、定款を完成させる
添付書類を完成させる
設立登記申請に必要な書類を確認する
印鑑届出に必要な書類
その他の書類
印鑑を押す
3、提出書類を確認して、登記に行く(ステップ3)
提出書類を整える
法務局へ出向いて書類を提出する
補正に行く
1、合資型ベンチャーとは
理想的な合資会社のあり方「合資型ベンチャー」
(1)デジタルツールを武器に、零細のデメリットを解消する
(2)大企業では絶対にできない、斬新な発想を持つ
(3)高い技術力などソフトを武器に、大企業と対等以上の関係を持つ
(4)幅広い人脈ネットワークを持つ
(5)事業を支援してくれるスポンサーを持つ
2、合資型ベンチャー設立構想の進め方
「自分の好きな分野」プラス「世の中のニーズ」を見極めよう
技術を持ってスピンアウトしよう
才能を開発しよう
才能のあるパートナーをみつけよう
人脈ネットワークを広げよう
事業計画のアイデアを練ろう
副業でテストマーケティングしてみよう
めざすべき姿をはっきりとさせよう
3、タイプ別・合資会社の上手な運営法
(1)個人事業型
(2)パートナーシップ型
(3)グループ独立型
(4)ワンマン・ベンチャー型
(5)組合型
参考情報/みなし解散させられた株式・有限会社の合資会社への組織変更の方法
参考文献リスト
あとがきにかえて/合資会社がつくる一億総カンパニー時代
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